1週間ぶりに社内に戻り、社内の委員会の仕事をぴゃぴゃっと終わらせた私に対して放った、後輩ちゃんの言葉である。
瞬発力で結果を出す事はこれまで何度もやってきたので、ちょっとした行動を起こすのに苦はない。
一般的には、こんなことを言われて喜ばない人はいないだろう。
しかし、この日の私は、とても気持ちにはなれなかった。
朝、あんなことが起こらなければ。
いつも通り、同じ電車の定位置に着こうと、ドアの前、つまり行列の先頭を確保し、スタートラインに経った。
目標は、次の快速の次にくる中央特快である。
タッチの差で私の後ろには行列ができ始めていた。
事が起こったのはその時だ。
快速が到着し、何人かが下車していた。
隣の行列の人たちがなんだか騒いでいる。
特におばちゃん達。
どうやら、快速から降りて来た女性が倒れたようだ。
見た感じ、貧血を起こし、途中下車して倒れたというところだろうか。
周りのおばちゃん達が動き、一人が駅員を呼びに行った。
連れて来た駅員はふらふらとどこかへ行ってしまった。
「何やってるんだ?」と思っていたら中央特快が到着。
貧血の女性も立ち上がり、去ろうとしている。
うーん、なんか危険なにおいがする。
経験則だが、座ってて貧血が落ち着いても、立てるとぶり返す。
そうならないかなぁ、とちょっと目で追っていた。
彼女はエスカレーターに乗る。
エスカレーターの手すりに寄りかかる。
鞄をエレベーターの外側に落とす。
や、やべぇ。
もう意識ないじゃん。
ちょっと走り出そうか迷う。
ちょうど中央特快のドアは開いたからだ。
その一瞬の迷いの間に、おばちゃんは彼女の元へ走り出していた。
きっとおばちゃんがいるから大丈夫だろうと、自己弁護しながら電車に乗り込む。
資格試験の本を開くが全く頭に入らない。
何故、私は瞬間的に動けなかったのか?
仕事なんてそんな忙しいわけじゃないから、ちょっとぐらい遅れたって大丈夫じゃないか。
いつだってそうだ。
私は初動が一瞬遅れるのだ。
後輩ちゃんは勘違いしている。
実はそうじゃない。
本当の私はもっと臆病で言い訳が多いんだ。
人間らしいと言えばそうなんだが、そこに収まりたいとも思わない。
そんな思いを強く出来た1日だった。
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