2009年7月1日水曜日

目の前の人

四ッ谷撤退にあたり、一足先(6月中旬)に撤退した、仲の良かった別の協力会社のAさん(27歳)も、今日の送別会に駆けつけて来た。

彼は素晴らしい人材で、若いのにものすごく品質の高いものを作る。

きちっとした人なのだ。

6月中旬に帰る前、彼に聞いてみた。

「帰って仕事はあるんですか?」
「1つ案件があるんですが、まだ具体的には決まってないです。もしかしたら最も苦手な後輩とやらなければいけないのが、ちょっときついです」
「ほぇ〜、でもその人が平気になればAさんは最強になっちゃいますね」

とか偉そうに返してしまった.


今日、ジョナサンから戻った時に、Aさんが既に来ていたので、話をした。

「その後、どう?仕事決まった?」
「いや〜、それがですね。厳しいっす。前言ってたのとは別のプロジェクトやってるんですが、同時に新人教育で6人も押し付けられて。。。定時までは新人教育。そこからやっと自分のプロジェクトの業務が出来るんですよ。こないだなんか、1時帰宅ですよ。しかも(不景気だから)残業代がつかなくなったし。周りの要望もめちゃくちゃで、新人教育が終わったら、新人が他の人と遜色ないようにね。ってあっさり言ってのけるから。そもそもJava教えている私はJava経験ないですからね。新人が育つか、私が倒れるかですよ。まじきついっす。」


あんまり情報を提示できないが、これを読んでいるあなたはどう感じますか?どう声をかけますか?

ちょっと考えてみようか。


そして、いいのが思い浮かんだら、私に教えてほしい(笑)




私?


私はとりあえず、こう話してみた。


「あんまりいい例えが浮かばないけど、こないだバガボンドを一気に全部読んだのね。バガボンド知ってる?」
「えぇ、少しは」
「あれで武蔵が70人切りするシーンがあるんだけど、70人の中には自分が切られるのがわかってて挑んでいる人たちがいたのね。なんでだと思う」
「うーん、わからんです」
「その人たちは、このまま平穏無事に生きてても、真に充実する事はない。どうせなら自分の真価を思いっきり出せる場、つまり強い相手である武蔵と対峙できる事の方が幸せだと考えたから挑んでいった。要するに大変な環境じゃないと自分に力があるかどうかすらわからずに死んで行く事になるよ」
「は〜、しかしですねぇ。私は死にたくないので、どちらかというと武蔵から逃げて小次郎を名乗ったやつのタイプなんですよねぇ。」


おもしろい切り返し。彼らしい反応だ。

本当は「強敵を伏して始て力士を知る」を話したかったのだが、場所が場所だけに、バガボンドの話をしてしまった(苦笑)。例えが微妙だったので反省するが、とりあえず考え方を擦り込む事は出来たと思う。

それで、こう付け加える。


「今は、どちらかというとプロジェクトも新人も押し付けられた形になってるよね?話を聞く限りAさん自身、そう感じているように見えるけど?」
「そうですね」
「どういうことかというと、それって受け身なんだよね。現状を変えていけるだけの知恵が湧くわけない。絶対にこの状況を変えてやるって決めるのがいいと思うよ。受け身でいるうちは環境に支配されているだけで終わっちゃうから。残業もせずに新人も育ててやるって本気で決めたら絶対いい知恵湧くから」


「あと、考え方として、6人を全員育て上げようって絶対に無理なのね。何故かというと、6人いると対象がぼやけて散漫になる。イメージは『人数が多くて無理だ』ってなってしまう。だから、まずは『こいつだ』って1人を決めて、本物を1人作ればいいよ。したらあとはおのずと他の人もいけるから。」

素直に聞いているなぁ、めちゃめちゃ伸びるタイプの人間だなぁと感じた。

本当はもっと具体的な改善の知恵を一緒に考えてあげるべきだったと思うのだが、途中で他の人が参入し、話はそこで打ち切りに。


若い人に(といっても2つ下だけど)説教をたれるオヤジになってしまったなぁと思う。まぁもうすぐ30なので年相応ということにして許してくだされ。



先日、自社の人と「協力会社の人の育成」について話題になった。

その人は、もうすぐ去るであろう協力会社の人を育成する意味あるのか?というようなことを言っていた。確かにそこに労力を注ぎ込んでみても無駄なような気がする。しかし、私は大学の先輩から「立場や役職は関係なく、例え組織が全く異なろうが、私は目の前にいる人を激励するよ」という話を聞いてから、変に納得してしまい、ずーっとそうやってきたので、例え協力会社の人であろうと、そこで付き合いが終わる人であろうと一切関係なく、同じような話をする。これまでも、これからも。

そして、そこで話した事は全く無駄にならない事も知っている。


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